2019.3.2 タトゥー

ブラックアンドグレータトゥー | 歴史と今

Tattoo by Horihide 2

 

ブラックアンドグレー、今の人気タトゥースタイル

ブラックアンドグレーは今一番流行っているタトゥースタイルかも知れません。

名前の通り、黒とグレーしか使わないタトゥージャンルです。

日本のアイヌやニュージーランドのマオリ族のような古くからあるタトゥー文化は黒一色使います。

日本の和彫りでも黒しか使わない「カラス彫り」もあります。

しかし、これらのスタイルはブラックアンドグレーと言いません。

ブラックアンドグレーがジャンルとしてできたのは70〜80年代です。アメリカのチカーノ文化から生まれ、レタリングやキリスト教の宗教的なモチーフを入れたスタイルのタトゥーのことを言います。

日本だけではなく、今は世界的にとても人気なタトゥージャンルの1つです。

 

ブラックアンドグレータトゥーのルーツ

日本もアメリカも、刑務所の中で刺青を彫ることが禁じられていますが、アメリカの刑務所は日本と違い、テープレコーダーとかギターを入手することができる施設もあります。

受刑者が、そのテープレコーダーのモーターやギターの弦やペンを使ってタトゥー マシンを作り、タバコの灰、靴墨、ボールペンのインクを顔料として「ジェイルハウスタトゥー 」(獄中刺青)を看守の目を盗んで 彫られていました。

Jailhouse tattoo gun (from Pintrest)

現在のブラックアンドグレージャンルの原点は、このジェイルハウスタトゥー にあります。

 

フレディーネグレテとミスターマホニー

ブラックアンドグレースタイルのパイオニアと知られるフレディーネグレテ氏(Freddy Negrete)は、少年時代からチカーノギャングメンバーのcholoでした。

少年刑務所に服役中、タトゥーを彫り始め、彼のリアリスティックな刺青をタバコやカップ麺と交換しました。

彼のずば抜けた才能が認められ、瞬く間に有名になりました。

ネグレテ氏は1977年の出所後、イーストロサンジェルスのGood Time Charlie’s Tattoolandでアメリカントラディショナルの大御所Ed Hardyの下で働きました。

彼のスタイルが広く真似されるようになり、ブラックアンドグレータトゥー が、ロスだけでなく、全米、世界に広がりました。

彼の有名な作品の1つは2つのマスク(トゥーフェスの仮面)に「Smile Now, Cry Later」の文字です。今でも人気なモチーフです。

By Freddy Negrete (From Chicano Conversations)

ネグレテ氏は現在Lady GagaやAdele等の著名人御用達のShamrock Social Clubのレジデントアーティストです。

因みに、Shamrockのオーナーは、もう一人のブラックアンドグレーの伝説的なアーティストMr. Cartoon(こと、Mark Mahoney)です。

マホニー氏はとてもディテールの細かい白黒写真のようなファインラインで作るリアリズムとチカーノスタイルのレタリングのブラックアンドグレータトゥーEminem, Cypress Hill, 50 Cent, Beyonce, Dr. Dre等の音楽業界のトップスター達にタトゥーを施しています。

 

今のブラックアンドグレータトゥー

このように、有名人のタトゥーの影響もあって、ブラックアンドグレースタイルはロスのアンダーグラウンド文化から世界に広まりました。

今は、ブラックアンドグレーが一番ポピュラーなスタイルの1つとなっています。

チカーノスタイルゴシック文字と宗教的なモチーフのみではなく、オルドスクールのデザインを白黒で表したり、リアリスティックなポートレートも人気です。

 

Tattoos by Horihide 2

 

ブラックアンドグレーを表現するには

実務的な話になりますが、ブラックアンドグレーの繊細なデザインを作るのに彫師はいろんな工夫をします。

まずは針です。

和彫りの 筋彫り(ライン)は、7本もしくは9本の針が束になったライナーと言う針を使います。

和彫りのボカシは、9〜13本の針が一直線または2列に重なったマグナムや平針を使います。

それと比べて、ブラックアンドグレーのファインラインは細い針を使います。

細いラインにシングルニードルや3本の針を使ったり、細かいシェーディングに3本針のライナーを使うアーティストもいます。

インクにもいろんな工夫があります。

黒といっても、インクに色々な種類が有ります。

Good Times Inkのメインアーティストである二代目彫日出は、同じ黒でも4つの種類のインクを使い分けています。

真っ黒のベタ塗り用に2種類、ライン用、ボカシ用、計4種類使用しています。

粒子のサイズがそれぞれ違いますので、肌にインクの入り方や発色が異なります。

グレーの作り方もアーティストによって違います。

グレーインクもありますが、黒のインクを精製水で薄めたり、白を混ぜる事によって微妙なニュアンスを表現することができます。

ご自身の決めたタトゥー デザインを色で表現するか、ブラックアンドグレーで表現するかを考えることもタトゥーの一つの楽しみではないでしょうか。

Enjoy your tattoo life!

ジャック アマノ